
保持しているポジションが含み損を抱えた時は、損切りをするのを嫌い保持し続けますが、逆に含み益が出ると少ししか利益が出ていなくてもすぐに利確をしてしまい、結果的に利益を伸ばせない事が多々あります。これをチキン利食いといい、長い目で見ると損をしてしまう為、一刻も早く克服する必要があります。
「利益になっているんだからいいんじゃないの?」と思う方は注意が必要です。なぜチキン利食いが結果的に損をしてしまうのか、チキン利食いの克服方法や、利益を最大限に伸ばす対策方法をお伝えします。
チキン利食いは一刻も早く克服すべき
「チキン利食い」は、英語のスラングで「チキン(臆病者、腰抜け)」という意味があります。鶏の落ち着きのない動きを人間に当てはめ、ビクビクと怯えているような動きをした人に「チキン野郎め!」などと罵ったりすることがあります。少しの利益で確定してしまう利食いは、チキン利食いと呼ばれバカにされる傾向にあります。
「チキン利食い」がなぜ駄目なのかというと、利益は少し・損失は大きく、という【損大利小】の結果を招く可能性があるからです。含み損を抱えた時は、「いつかプラスに転じるんじゃないか」とポジションを持ち続け、少しでも含み益が発生した時は、「ここで利確しておかないと含み損に変わるかもしれない」という心理で利確をしてしまいます。
FXで勝つには利益を大きく・損失は小さく、という【損小利大】のトレードを目指さなくてはいけません。損切りはあらかじめ決めたラインで損切りをし、利益は伸ばせる所まで引っ張って伸ばさなくてはなりません。これはメンタルを鍛えるだけで克服できるものではありません。
人はなぜチキン利食いをしてしまうのか
チキン利食いを説明する際に有名な理論があります。以下の条件であなたはどちらを選ぶでしょうか?
【A】コインを投げて表が出たら100万円が貰える、ただし裏が出たら何も貰えない
【B】無条件で50万円が貰える
実はAとBの期待値はどちらも同じ50万円なのですが、多くの方は【B】と即答します。【A】を選んで外れた場合に【B】と比較して損をしてしまう、と考えてしまうからです。
これは「プロスペクト理論」というもので、人は不確定な大きな利益より、確実な小さな利益を選んでしまう、という心理です。まさにチキン利食いの心理と同じです。これは決して初心者だけではなく、誰しもが持っている心理なのです。
チキン利食いはリスク・リワードを悪化させる
「リスク(損失)・リワード(利益)」とは、勝った時の利確ポイントと、負けた時の損切りポイントと、負けた時の損切りポイントとの比率のことです。
たとえばエントリーした地点から利確するポイントを20pips、損切りポイントを10pipsの地点に置いた場合、リスク・リワードは20÷10で【2】になります。この条件でトレードを10回行い、勝率が50%だった場合どうなるのか見てみましょう。
利益 | 損失 | 収益 |
---|---|---|
20pips×5回=100pips | 10pips×5回=50pips | 100pips-50pips=50pips |
上記のように、最終的な収益は50pipsになります。ではチキン利食いで5pipsで利食いをした場合はどうなるでしょうか。
利益 | 損失 | 収益 |
---|---|---|
5pips×5回=25pips | 10pips×5回=50pips | 25pips-50pips=-25pips |
上記のように、チキン利食いをすることで、損益が逆転してしまいます。そしてリスク・リワードは5÷10で【0.5】に低下してしまいます。
勝率が100%であればチキン利食いでも負ける事はありません。ただFXで勝率100%なんてものはありえない、という事は経験者なら分かると思います。プロトレーダーでも負ける事は当たり前です。それ以上に勝っているから(利益を伸ばしているから)、FXで生活ができているのです。
狙ったチキン利食いであれば問題なし
数秒~数分でエントリーから決済までを行うトレードを繰り返す「スキャルピング」スタイルであれば、チキン利食いでも問題ありません。スキャルピングというトレードスタイルは、コツコツと小さな利益を積み上げていく手法です。そういったトレードスタイルの方はチキン利食いではなく、れっきとした利食いと言えます。
チキン利食いが駄目なのは、それを狙っているわけではなく、チャートの値動きに狼狽し、感情的に決済をしてしまうチキン利食いが一番いけません。エントリーをする際に利確するライン、損切りをするラインを予め決めておく必要があります。
チキン利確を克服するには!?

チキン利食いを克服するにはポジポジ病を克服するのにも共通していますが、エントリーおよび決済に根拠を持たせる事です。損切りを10pips、利確を20pipsに設定すると、リスク・リワードは【2】となります。リスク・リワードが【1】を超えていれば勝率が50%であれば10回やっても、100回やっても利益となります。
大切な事は、一度決めた損切りラインは絶対に守ることです。損小利大のトレードを目指す為、損切りは小さくしなければなりません。逆に利確ラインは状況によって守らなくても構いません。トレンドが発生してさらに利益が伸びそうであればどんどん利益を伸ばしていきましょう。その後仮に逆行したとしても、最初に決めた20pipsで利確をすれば問題ありません。
また、トレードノートをつける事も有効です。自分はなぜあの時そこでエントリーをしたのか、なぜあそこで決済をしたのか、本来どこまで利益は伸びたのか、など過去の自身のトレードを分析する事は、今後のトレードにおいて非常に有効な手段で、ポジポジ病はもちろんチキン利食いの対策にもなります。
あらかじめ決めた損切りラインを確実に守り、利益はできるだけ伸ばす(伸びなかったら当初の利確ラインで決済する)。これを意識する事でチキン利食いは克服できるはずです。チャートの値動きに右往左往しないよう、チャートをしっかりと分析し、根拠を持ってトレードをするよう心掛けましょう。
まとめ
チキン利食いは長期的に見ると損をしてしまう危険な利食いです。「損小利大」のトレードを常に意識し、予想に反し逆行したらあらかじめ決めたラインで損切りをしてください。トレードで負ける事は当たり前ですので、損切りは感情を抑え機械的に行いましょう。
逆に利益が伸びている時はさらなる伸びを狙っていきましょう。利益を貪欲に狙い続けることが、リスク・リワードの改善に繋がり、確実に利益を積み上げてくれるはずです。