
ロンドンフィックス(London FIX)とは、ロンドン市場において基準レートを決めることです。ロンドンフィキシングや、ロンフィクなどとも呼ばれています。
東京市場では午前9:55分にその日の基準レート「仲値」が決まりますが、それと同じようにロンドン市場でも決められた時間に基準レートが決まります。そしてそんなロンドンフィックスは影響力の大きさから世界中のトレーダーが注目し、特に月末は相場に大きな影響を与えることがあります。
ここではそんなロンドンフィックスの始まる時間や、月末のロンドンフィックスを利用したトレード手法などを紹介します。
ロンドンフィックスは日本時間の夜中

日本時間の深夜や、翌日にポジションを持ち越していたら翌朝大きな損失を抱えていた……そんな経験はないでしょうか。その原因の一つとして、このロンドンフィックスが考えられます。
ではロンドンフィックスはいつ、何時に行われるのでしょうか。以下はロンドンフィックスの実施時間です。
夏時間(3月~10月) | 冬時間(11月~2月) |
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日本時間24時(ロンドン時間15時) | 日本時間25時(ロンドン時間16時) |
サマータイムが導入される3月~10月では、日本時間午前0時に、冬時間では日本時間午前1時に行われます。日本のトレーダーでロンドンフィックスを知らない方は意外と多く、朝起きたらとんでもない損失を抱えていて青ざめる、といった事も少なくありません。
ロンドンフィックスはなぜ影響力が大きいのか
ではなぜロンドンフィックスは世界中のトレーダーが注目し、影響力が大きいのでしょうか。
それはズバリ、為替の基準レートだけではなく「金(ゴールド)のスポット価格も決まる」という理由です。古くは大英帝国の時代から、金(ゴールド)のスポット価格はロンドン市場で決定されてきました。実はこの「金(ゴールド)」、ドル建てで取引される為、ドルの取引量の多さに比例して為替市場に大きな影響を与える事があります。
さらにロンドンフィックスの時間は、ロンドン市場とニューヨーク市場が開いている時間帯となっており、欧米勢と欧州勢、そしてそこにアジア勢も参加して取引量が一気に増加します。まさに世界中のトレーダーが注目し、こぞって参加する一大イベントなのです。
ロンドンフィックスは、FXをやる上で絶対に知っておかなければならない重要な知識のひとつです。
ロンドンフィックスは月末が重要
東京市場の仲値と同じように、ロンドン市場でもロンドンフィックスは平日毎日行われます。ただ、最も相場に影響をあたえるのは月末です。
その理由は、ヘッジファンドや機関投資家などが大口の取引を、月末に行う事が多いからです。大口の取引では株や債券などの売買も行われ、これらの動きが為替相場にも大きな影響を与えることが多々あります。
さらにロンドン市場を抱えるイギリスでは、多くの企業が月末や月初に決算を行います。特に輸出をメインに行っている企業ではポンドの買い戻しが積極的に行われ、ポンド関連の通貨の値動きが激しくなる傾向にあります。
月末のロンドンフィックスの時間帯にトレードをする際は、その点に注意する必要があります。
月末ロンドンフィックストレードの手法とは
「ロンドンフィックスを狙ってトレードしている」という方は実は意外と多くいます。大きな値動きがあり、短時間で大きな利益を上げる可能性があるロンドンフィックスは、世界中のトレーダーから注目されており、値動きもダイナミックなものになる場合が多いです。
前述したように特に月末は大きく値が動く傾向にあり、月末のロンドンフィックスに照準を定めるトレーダーも少なくありません。では、月末ロンドンフィックスで勝つにはどうすればよいのでしょうか?
短期取引を心掛ける
月末ロンドンフィックスでは数秒~数分で取引を行うスキャルピングトレードが向いています。伸びている方向に乗っかり、ある程度利益を得たら決済(利確)する、といった手法です。
重要な事は、短期取引を心掛けることです。「もっと利益が出るかも……」と欲を出して保持し続け、結果逆行する、といった事も珍しくありません。どんな値動きであっても「○分以内に決済する」などといった自分ルールを作り、それを遵守することをおすすめします。
損切りラインは決めておく
ロンドンフィックスでは相場がどちらに動くかは、その時の状況によって決まります。”東京市場の仲値が決まる午前10時頃までは、輸入企業の資金調達で米ドルの買いが多くなり「米ドル円」が上がりやすい”などといった傾向はなく、上がるか下がるかは分かりません。
そのため、伸びている方向に乗っかるのがベターなのですが、当然逆行する事も考えられます。その時の為にも損切りラインは必ず決めておくことをおすすめします。月末のロンドンフィックスを甘く見ていると強制ロスカットをくらってしまいますので注意が必要です。
ロットを持ちすぎないこと(ハイレバレッジをしない)
「短時間で大きく儲けてやろう!」と限界までロットを持ってしまう初心者の方は、ハイレバレッジで限界までロットを抱えて一攫千金にかけたりしてしまう事があります。
ハイレバで大量のロットを保持するのは絶対にやめましょう。大きく値動きを見せる月末のロンドンフィックスでは、上がった!と思ったら一気に下がる、いわゆる往復ビンタをくらう可能性があります。
限界までロットを持ってしまうとこの往復ビンタで強制ロスカットをくらってしまい退場するハメになります。ロットは自分の資金にあった数、余裕のある証拠金維持率でエントリーするようにしてください。
ロンドンフィックスを逆に利用する
ロンドンフィックスでは、ポンド(GBP)やユーロ(EUR)といった通貨が大きく動く傾向にあります。そのため、初心者の方は往復ビンタや想定外の値動きに強制ロスカットされてしまう可能性が高まります。
逆にロンドンフィックスを利用し、ポンド(GBP)やユーロ(EUR)といった通貨を含まない通貨ペア、特に米ドル円などは取引量も多く、値動きも比較的ゆるやかなので落ち着いてトレードが出来ます。みんなの目線がロンドンフィックスに向いている時に他の通貨ペアで堅実に利益を上げる、それも立派な手法のひとつです。
スプレッド拡大に注意!
ロンドンフィックスでは、業者や時間帯によって異なりますが、値動きが激しい時にスプレッドが広がる傾向にあります。短時間で何度も取引を行うスキャルピングスタイルでは、スプレッドの取引コストは馬鹿になりません。とんでもないスプレッドでエントリーをしないよう、エントリーする際にはスプレッドをしっかりと確認しましょう。
まとめ
ロンドンフィックスは米国の雇用統計発表などの経済指標と同様に、世界中のトレーダーに注目されています。こうした発表はFXと密接に結びついており、内容によって大きな値動きを見せる事が多々あります。
ロンドンフィックスを理解することで、余計な損失を防いだり、逆に利用して大きな利益を上げることも可能です。FXにおける重要な要素のひとつですので、是非チェックしておいてください。