
ナンピン(難平)とは、購入した株式などが下落した際に下がったレートでさらに買い増し、損益分岐点を引き下げるテクニックです。FXの世界でもナンピンが使われる事は多く、難(損)を平均化するという意味で”ナンピン”と呼ばれています。
ここではナンピンのやり方と、そのメリット・デメリットを解説します。海外FXでのナンピンは覚えておいて損のないテクニックですので是非チェックしてみて下さい。
ナンピンのやり方
ナンピンのやり方はとても簡単です。ルールは保持しているポジションで損失が出た時に、買いなら買い、売りなら売り、と”同じ方向で買い増すだけ”です。
たとえば①「1ドル100円で1ロットの買いエントリー」をしたとします。その後、想定とは異なり値が下がっていき98円になりました。ここでさらに②「1ドル98円で1ロットを買い増し」ます。すると100円の買いと98円の買いが平均され、1ドル99円で買った事になります。
その後仮に値が98円から99円まで戻ったとします。①で買ったポジションは-1円分の損失ですが、②で買ったポジションは+1円の利益となります。①と②、お互いの損益が相殺されて損失がなくなることが分かると思います。
①100円から99円 | ②98円から99円 |
---|---|
-1円 | +1円 |
これがナンピンの効果です。損失が出ている時に”あえて買い増す”ことで、損益分岐点を下げる事ができるのです。もしナンピンをしなかった場合、①のポジションしか持っていない為、単純に-1円分の損失を被る結果になります。
ナンピンのメリット

海外FXでナンピンをする事のメリットは主に4つあります。
- 損益分岐点を下げられる
- 損切りの回数を減らす事ができる
- ハイレバレッジで余力を残しながら戦える
- 追証(おいしょう)がない業者がある
それぞれ見ていきましょう。
損益分岐点を下げられる
これはすでに説明した通りですが、ナンピンの最大のメリットです。100円で買ったポジションが98円まで下落してしまった場合、利益に転じる為には2円分戻さなくてはなりません。
しかし98円でさらに買い増すことにより、実質99円で買っている事となります。そのため、98円から99円の1円分戻れば損失は無くなり、そこからは利益に転じます。
ナンピンをすることにより損益分岐点が下がる為、利益を上げやすい状況を作れるのです。
損切りの回数を減らす事ができる
想定と異なる値動きになった時、潔く損切りをする事は非常に大切です。ですが、エントリーをしてもすぐに損切りを繰り返す、いわゆる「損切り貧乏」になっていないでしょうか?
損切りをするとその時の損失は最小限に抑える事ができますが、売買をする度に取引コストが発生していますので損切りばかりを繰り返していると、取引コストの分が嵩んで結果的に大きく負けてしまう事も少なくありません。
ナンピンをすることで損切りを回避し、損切りの回数を減らすことができるのです。
ハイレバレッジで余力を残しながら戦える
海外FXでのトレードにおいて「ナンピンは最強」と巷では言われています。その理由はズバリ「レバレッジの高さ」にあります。
国内FXでは金融庁の規制により最大レバレッジは25倍までとなっていますが、海外FXではレバレッジは100倍、500倍、1,000倍など、まさに規格外のレバレッジでトレードをする事が可能です。
レバレッジが高い、という事は「少額の資金で多くのポジションを持てる」という事です。替レートが100円、取引量が1万通貨と仮定して、レバレッジ1,000倍の場合、わずか1,000円で1万通貨のポジションが保有できます。
必要証拠金を求める計算式は以下のとおりです。
為替レート×取引量÷レバレッジ
上記の計算式で、為替レートが100円、取引量が1万通貨と仮定して、レバレッジが異なる場合の必要証拠金を表にしてみました。
レバレッジ | 計算式 | 必要証拠金 |
---|---|---|
1 | 100×10,000÷1 | 1,000,000円 |
25 | 100×10,000÷25 | 40,000円 |
100 | 100×10,000÷100 | 10,000円 |
500 | 100×10,000÷500 | 2,000円 |
1,000 | 100×10,000÷1,000 | 1,000円 |
レバレッジがない場合、為替レートが100円で1万通貨の取引をしようとすると必要な証拠金は1,000,000円となります。これを見ると海外FXでのナンピンがいかにやりやすいか、よく分かると思います。
追証(おいしょう)がない業者がある
追証(おいしょう)とは、「追加保証金」の略称で、含み損が膨らみ証拠金維持率が下がることにより発生します。国内FXの場合、金融庁の規制により業者側が「トレーダーの損失を補填すること」を禁止しています。
そのため、口座残高が-10万円となってしまった場合、損失を補填するため自分で10万円を入金しなければなりません。国内FXでは想定外の値動きによって、いきなり借金を背負ってしまう可能性があるのです。
ところが、海外FXの多くの業者では【追証(おいしょう)なし】としている所がほとんどです。これは収益モデルの違いによるものですが、追証がない為トレーダーは積極的にトレードをする事ができ、その手数料で海外FX業者も儲かる、というWinWinの関係を築けているのです。
ナンピンのデメリット

海外FXでナンピンをする事のデメリットは主に2つあります。
- 大きな損失を被る可能性がある
- タイミングが難しい
それぞれ見ていきましょう。
大きな損失を被る可能性がある
ナンピンは損益分岐点を下げる効果的なテクニックですが、チャートが反転しなかった場合はさらに損失を増やしてしまうことになります。損切りとナンピン、どちらにするか非常に悩ましい局面が多々あるかとおもいますが、その後のチャートに期待ができないのであれば素直に損切りをしておきましょう。
そうした判断ができるようになるためには、しっかりとしたチャート分析が必要になりますので安易なエントリー、安易なナンピンはしないように気をつけましょう。
タイミングが難しい
ナンピンは、仕組みは簡単ですが実際にやろうとするとそのタイミングの難しさに悩むはずです。経験や相場観が足りない初心者の方は「早すぎるナンピン」をしてしまい損失が膨らむだけ、というナンピンをしている方も多いです。
こればかりは経験がものを言います。まずは低いレバレッジで、少ないロットでナンピンを実践し、その効果を確認しながら慣れていくことをおすすめします。
ナンピンの逆「ピラミッティング」とは
ナンピンの逆で、利益を積み重ねる事で利益を最大限に増やすテクニック「ピラミッティング」と呼ばれるものがあります。
たとえば1ドル100円で1ロットの買いエントリーをしたとします。その後想定通りに値が上がっていき101円になりました。ここでさらに1ロットを買い増します。その後さらに値が上がり102円になりました。すると利益は最初の100円から102円への上昇分に加え、101円から102円までの上昇分も加わり、合計3円上昇分の利益を獲得できます。
含み益を使いさらにポジションを買い増し、利益をどんどんと積み重ねていく、これがピラミッティングです。
まとめ
海外FXにおいてナンピンは、ピンチをチャンスに変えるテクニックです。損失が膨らんでしまった時に、損切りをするかナンピンをするか、相場の状況と相談しながら検討してみましょう。ただし、初心者の方はナンピンのタイミングを誤りがちなので、少ないロットで試しながら経験を積んでいきましょう。