
コツコツドカンとは、株やFXなどで小さな利益を積み上げたのちに、大きな損失を出してそれまでの利益が吹き飛んでしまうことを言います。コツコツと積み上げた利益を1回のトレードで台無しにしてしまうコツコツドカン。そこには人間の心理が深く関係しています。
ここではコツコツドカンを繰り返してしまう方に、なぜコツコツドカンが起きてしまうのか、原因と対策についてお伝えします。
コツコツドカンはなぜ起きるのか

コツコツドカンで全てを台無しにしてしまうトレードには、以下のような理由が考えられます。
損切りができていない
FXで勝つポイントは、「いかに損切りができるか」です。”損小利大のトレードを心がけよう”とよく言われますが、損は小さく、利益は大きくしようとする意識が大切です。
そして初心者に多いのですが、トレードで負けることを極端に嫌い、利益の確定は早く、損失の確定は「まだ大丈夫、きっと反転する」と、先延ばしにしがちです。このような「チキン利食い」をしている方は、そちらも克服する必要があります。
このようなトレードのやり方をしていては、利益は少ししか得られず、損失が大きくなった時に今までの利益を全て失ってしまいます。これがまさに、コツコツドカンです。
根拠のないトレードをしている
あなたはどういう条件でエントリーをしているでしょうか。ゴールデンクロスのサインが出た時、移動平均線のパーフェクトオーダーが現れた時、など様々な条件がありますが、ただなんとなくエントリーしていませんか?
トレードをしていないと利益を出すチャンスを逃しているように感じ、常にポジションを持ちがって根拠が弱いのにエントリーしてしまう、それは「ポジポジ病」と呼ばれるもので、一刻も早く改善する必要があります。
根拠の強いエントリーとは、勝率を上げるエントリーです。「ゴールデンクロスが出ている、しかもパーフェクトオーダーも出ている、さらにこのサインも、このサインも出ている!」などというように、複数の根拠が重なれば重なるほど、エントリーの優位性は高まります。
プロトレーダーの多くは、自分なりのルールを決め、それを遵守しています。人間ですから揺れてしまう事もあるでしょうが、基本そのルールを守り続け、コンスタントに利益を上げています。そんな強靭なメンタルは、根拠のないエントリーを繰り返していては鍛えられません。
感情トレードになってしまっている
そしてトレードのすべてが、感情で動いてしまっていないでしょうか。もちろん人間ですので感情があるのは当たり前です。ですが、感情を極力抑え、事前に決めたトレードルールに従い、粛々と行うトレードの方が勝率はよくなるはずです。
そして人間の心理を如実に表す「プロスペクト理論」というものがあります。
【A】コインを投げて表が出たら100万円が貰える、ただし裏が出たら何も貰えない
【B】無条件で50万円が貰える
上記の条件であなたはどちらを選ぶでしょうか?
実はAとBの期待値はどちらも同じ50万円なのですが、多くの方は【B】と即答します。【A】を選んで外れた場合に【B】と比較して損をしてしまう、と考えてしまうからです。
これが「プロスペクト理論」というもので、人は不確定な大きな利益より、確実な小さな利益を選んでしまう、という心理です。これは誰しもが感じることなので、この感情をいかに抑える事ができるかが重要になります。
また、大切な事は勝率を上げることではありません。エントリー10回中9回勝って5万円の利益を上げた人と、エントリー10回中9回負けたけど10万円の利益を上げた人、トレーダーとして優秀なのは後者です。
FXで負ける事は当たり前です。勝率100%なんてものはあり得ません。負けを嫌い感情でトレードしてはいけません。10回中9回負けても、1回の利益が上回ればそれは【勝ち】なのです。自分なりのトレードルールを作り、それを遵守するように努めましょう。
コツコツドカンを防ぐ対策方法とは

コツコツドカンはどうやったら防げるのでしょうか。人により対策は異なりますが、多くの方は以下のようなトレードを心がけることで改善が期待できるでしょう。
逆指値注文を出しておく
逆指値注文は、いわば損切り注文です。「ここまで下がった損切りをしよう」と、エントリーをする時に指定しましょう。そして肝心なことは、この損切りラインを絶対に動かさない事です。
損切りラインが近づいた時「この値動きならここから反転するはず」のような根拠のない希望的観測でポジションを保持し続けます。その後さらに損切りが拡大する可能性を考えていない(見ないようにしている)のは非常に危険です。損切りラインにタッチしたら機械的に損切りをし、次のトレードに目を向けましょう。
ポジションのサイズを極端に変えない
コツコツと利益が積みあがっていき、「あれ、このやり方でやれば勝てるんじゃないか?」と思い、大きなロットを張ってエントリー……そういう時に限って負けるものです。これまで積み上げてきた利益がたった1回のエントリーで吹き飛んでしまうのは絶対に避けなければなりません。
保持するロットは毎回同じにするのが理想です。FX界では「損切りは5%までにすべき」と言われますが、損切り5%理論で見た時に証拠金残高に応じた適正ロットは、証拠金残高が20万円で0.1(1万通貨)ロット、証拠金残高が200万円で1(10万通貨)ロットが適正ということになります。
資金管理を適切に行う事で、損切りが正しくできるようになり、コツコツドカンから脱却できます。
まとめ
コツコツドカンは誰しもが通る道です。FXでは損失をできるだけ小さく、利益をできるだけ大きくする「損小利大」のトレードが大切だと散々言われていますが、実際にやってみると分かっていてもなかなか難しいですよね。できるだけ感情でトレードするのを止める事を意識し、損切りは機械的に行うくらいがちょうどいい塩梅になるかもしれません。